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世界の暮らしインタビュー 〜 世界の文化や習慣をインタビュー形式でご紹介します 〜
Vol.2 オーストリアの文化に触れる
 前回に引き続きオーストリアのお話です。
 今回は前野さんが訪れたオーストリアの名所や世界遺産についてお聞きしました!


Q.オーストリア滞在中にいろいろなところへ足を運ばれたようですが、どのようなところに行きましたか?


 はい、滞在中は本当にいろいろなところ行きましたね。
 研究活動の一環で、様々な地方や施設も訪れましたし、それ以外では、ウィーンにある宮殿や寺院、博物館などもたくさん訪れました。

 また、やはり“音楽の都・ウィーン”ということで、王宮礼拝堂で行われるウィーン少年合唱団の聖歌や、モーツァルトコンサートを聴きに行ったりもしました。モーツァルト・オーケストラは演奏家が歴史的なコスチュームで登場し、見た目でも楽しませてくれました。曲も有名なものが多くて、普段クラシックを聴かない私でもとても楽しめましたよ。
 全般的にコンサートの値段も日本に比べると格段に安いので、音楽をより身近なものとして楽しめるのかもしれませんね。

【ウィーン・モーツァルト・コンサート】

 また、オーストリアには8つの世界遺産があるのですが、私はこのうち、3箇所を巡ってきましたのでご紹介したいと思います。

 【オーストリアの世界遺産】
・ザルツブルク市街の歴史地区 - (1996年登録)
・シェーンブルン宮殿と庭園群 - (1996年登録)
★ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観 - (1997年登録)
★センメリング鉄道 - (1998年登録)
・グラーツ市歴史地区 - (1999年登録)
★ヴァッハウ渓谷の文化的景観 - (2000年登録)
・ウィーン歴史地区 - (2001年登録)
・フェルテー湖/ノイジードル湖の文化的景観 - (2001年登録)

(1)センメリング鉄道
 まず最初に訪れたのは、ウィーンからグラーツ方面に向かう列車の途中約40kmの区間のセンメリング鉄道(Semmering Eisenbahn)です。


【センメリング鉄道の車窓から】
 1854年に完成した世界初の山岳鉄道で、初めてアルプスを越えた鉄道として、現在もアルプス越えのもっとも重要な路線です。
 16のトンネルと16の高架橋があるのですが、高架橋の一部が二層構造になっていて、この路線の目玉になっています。トンネルや構造物は自然に調和するように造られているので眺めは最高です。美しい景観を見ながらのんびりと列車の旅をすると、“世界の車窓から”の気分になります。

(2)ハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観
 ザルツカンマーグートはザルツブルグの東に位置し、アルプスの峰々に抱かれるように扇状に展開する一帯で、映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台でとしても名高い景勝地です。私はザルツカンマーグートの中で最も南に位置する人口1千人ほどの小さな町、ハルシュタット(Hallstatt)を訪れました。街並みはハルシュタット湖岸のわずかな土地に家々がびっしりと軒を連ね、後ろに控えた絶壁に向かって伸びています。“眺めるには美しいが住むには不便”な土地に、なぜ人々は町を作ったのか?と不思議に思いましたが、答えは「ハルシュタット」という地名に隠されていました。「ハル(hal)」はケルト語で「塩」を意味します。この町ははるか昔から塩の採れる町だったのです。ハルシュタットの山々は60%の岩塩を含んでおり、この岩塩層2億5000万年前に海の浅瀬や潟であったところが、その後の地殻変動によって褶曲し、押し上げられできたものです。

 国鉄のハルシュタット駅から街までは、渡し船で渡ります。船から眺めるハルシュタットは、世界遺産に登録されるのに納得の絶景です!ハルシュタット湖で獲れる白身魚で腹ごしらえをして、ハルシュタットの町外れにあるケーブルカーに乗り、岩塩坑ガイドツアーに参加しました。この岩塩坑は現在も操業中で紀元前800年前にもさかのぼる世界最古のものであり、塩坑内は気温8℃のため、見学者は服の上から作業着の上下を着用して出発します。途中で大きな木製の滑り台で坑内を滑り下りたり、狭い坑道を歩いたり、塩水を溜めたソルトレイクなどを見学しました。音響効果も手伝って、映画「天空の城ラピュタ」の飛行石が眠る洞窟のようでした。

【ハルシュタット湖岸に立ち並ぶ家々】 【岩塩坑の入り口】

(3) ヴァッハウ渓谷の文化的景観
 3箇所目はオーストリアのドナウ川流域で最も美しい景勝地であり、「銀色に輝く帯」と呼ばれるヴァッハウ渓谷です。まず向かったのは有名なメルク大修道院です。「横にのびた摩天楼」あるいは「信仰の要塞」などと呼ばれ、バロック様式の荘厳華麗な建物としてヴァッハウ渓谷のシンボルともなっています。10万冊以上の蔵書を誇る荘厳な図書館や金色に輝く豪華な礼拝堂など、“修道院”という言葉の持つ質素なイメージを吹き飛ばす豪華絢爛さに驚きました。

【メルク大修道院】 【金色に輝く豪華な礼拝堂】

 ここから遊覧船「austria princess号」に乗船して、ドナウ川を下りました。川沿いに緑の丘陵とブドウ畑がせまり、古城が点在するロマンティックな風景でした。遊覧船は1時間半ほどで水色の塔を持つ教会で有名なデュルンシュタイン(Duernstein)に到着しました。
 12世紀中頃に築かれたデュルンシュタインの街を見下ろすクエリンガー城址は、十字軍遠征の帰路、ウィーン付近で捕えられたイギリスの「リチャード獅子心王」が幽閉されていた城です。一年に及ぶ長い身代金交渉の結果、身柄と引き換えに莫大な金額を得たレオポルトV世は、これをウィーンなどの城壁強化にあてました。
 また、ヴァッハウ渓谷はオーストリアで最も重要なワインの産地のひとつです。私もせっかくなので、有名な地酒であるアプリコットから造ったワインを試飲し、小さなボトルを購入してみました。

【ドナウ川沿いの古城】


 さまざまな土地を訪れオーストリアの文化や歴史に触れた前野さんの体験談をお聞きしました。
 世界遺産として昔の姿を残している景観や気軽に楽しめるクラシック音楽など、歴史を大切に守っているオーストリアの姿を垣間見ることができましたね。 次回も引き続きオーストリアのお話をお届けします!