- アロシュ・ドーシュとペコちゃん
- お米
- 調理過程1
- 調理過程2
「アロシュ・ドーシュ」
幸せを呼ぶ、お米のスイーツ南ヨーロッパにあるポルトガルは日本から遠く離れた国ですが、両国にはさまざまな共通点があるように感じます。シャイで控え目な人が多いこと、イワシやタイなどの焼魚を食べること、そしてお米を食べることです。
ポルトガルでは、そのお米をスイーツとして食べることもあります。その代表格が、お米を牛乳と砂糖で煮た「アロシュ・ドーシュ」と呼ばれる、「ライスプディング(ミルク粥)」の一種。「アロシュ」はお米、「ドーシュ」は甘いという意味で、寒い時期には温かいまま、暑い夏場は冷やして……と、日常的に食べられています。
私が滞在したお宅でも、デザートとして何度も登場しました。日本には甘いお米を食べる習慣がほとんどないので、初めて食べた時は不思議な風味だと思いましたが、慣れてくるとお米のもちもちした食感、牛乳のクリーミーさとシナモンパウダーの風味がとてもおいしく感じるようになりました。
このスイーツはレストランのメニューにもありますが基本的には家庭料理で、作り方はごくシンプル。お湯にレモンの皮、塩、シナモンスティックを入れてひと煮立ちさせたものに、粒の丸いタイプのお米と沸騰させた牛乳を加えます。そして砂糖を少しずつ加えながら、1時間半ほど混ぜ続け、おたまですくって垂らしたときに水っぽい音がしなくなれば完成です。かなり体力が要る作業だと思いました。
アロシュ・ドーシュは縁起の良いスイーツとされていて、結婚式などのお祝い事や、クリスマスやイースターといったキリスト教の祭事には欠かせません。私が訪ねたカステロ・ノーヴォ村では、「結婚式の時、名人のアリスおばあちゃんが作ったアロシュ・ドーシュを食べると、一生幸せになれる」という話もあるそうです。