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町でよく見かける定番のお菓子です
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花の形が上品で華やか!
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シロップのコーティングで、しっとり食感に
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お茶のお供にピッタリなお菓子でした
「ヤックァ」
“ハルメニアム”で人気再熱の伝統菓子
韓国には、伝統的な宮廷菓子を現代風にアレンジしたお菓子がたくさんあります。花の形が上品で可愛らしいお菓子「ヤックァ」もその1つです。
「ヤックァ」は漢字だと「薬果」と書きます。はちみつやごま油など、薬のように身体に良いとされている材料を使っているため、「薬」という字が使われています。「果」という字は、元々、梨などの果物をかたどって作られていたことから「お菓子で作った果物」という意味で付けられました。
元来ヤックァは、魂を招く食べ物として韓国の祭祀でお供えされるお菓子でした。今では日常的に食べられている庶民的なお茶菓子ですが、昔は小麦粉の価値が高かったため、特別な日にしか食べられない貴重品だったそうです。
ヤックァは小麦粉、ごま油、蜂蜜、砂糖、水飴、シナモンを混ぜ合わせた生地を伸ばして型抜きし、低温の油で煮るようにじっくりと揚げます。揚げたものをショウガの入った水飴のシロップに浸したら完成です。
食感は、外側はちょっと固めで内側はもっちりしていて、まるでケーキドーナツや沖縄のサーターアンダギーをぎゅっと濃縮したよう。噛むと生地全体から蜜と油がジュワッと染み出てきます。
実はこのヤックァ、韓国の若者の間でトレンドになっています。そのきっかけは「ハルメニアル」と呼ばれるレトロブーム。ハルメニアルは「おばあちゃん」を表す「ハルモニ」の方言「ハルメ」と、1980~1990年代半ば生まれの世代「ミレニアル」を組み合わせた造語で、ヤックァのようなレトロな食べ物や服、雑貨などを現代風にアレンジしたものが人気を呼んでいます。日本の昭和ブームとちょっと似ていますね。
私が行ったお店には、プレーンなものだけでなく、シナモン、かぼちゃ、高麗人参が練り込まれたものなどさまざまなフレーバーが売られていました。最近はレンジで温めたり、夏はアイスクリームを添えたりして食べるのが人気だそうです。
日本でも、東京や大阪などのコリアンタウンでヤックァのスイーツショップがオープンしたようです。この機会に本場の味を試してみるのも良いかもしれませんね!
(2025年1月掲載)