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お祝いの席で食べる縁起が良いお菓子
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かぼちゃをふわふわの餅で挟み、粒あんをまぶしています
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甘さ控えめで、お茶やコーヒーにぴったり!
「ホバクシルトック」
ハレの日を祝う、うるち米の餅菓子
時々無性に食べたくなる、もちもち食感の食べ物。今まで世界中でさまざまな食文化に触れてきましたが、この独特の食感はアジア特有のものだと改めて感じます。
餅は東アジアや東南アジアに浸透している食べ物です。日本では昔、餅は稲の神様「稲霊(いなだま)」の象徴で、生命を再生させる霊力があると信じられており、ハレの日の食べ物とされてきました。
お隣の韓国でも餅の食文化が根付いています。日本の餅は主に蒸したもち米から作られますが、こちらはもち米だけでなくうるち米なども使われていて、蒸したり、ゆでたり、揚げたり……と、調理法もバラエティに富んでいます。正月、中秋、冬至などの節目の日には、これらの餅を使ったお菓子が振る舞われています。
韓国のさまざまな餅の中で基本となるのが「シルトック」です。シルトックは、水でふやかしたうるち米を砕き、せいろで蒸しあげた餅です。引っ越しの挨拶回りや法事などでも振る舞われますが、開業、誕生日、生後100日の記念日といったお祝いの席で食べると縁起が良いとされていて、バースデーケーキのような円形の「お祝い用のシルトック」も売られています。
代表的なトッピングは、かつて魔除け効果があると信じられていた小豆。以前はたくさんの種類のシルトックがあったそうですが、今残っているのは「小豆のシルトック」、豆を混ぜた「コンシルトック」、そして今回ご紹介する「ホバクシルトック」くらいだそうです。
ホバクシルトックとは、かぼちゃを使ったシルトックのこと。乾燥させた薄切りのかぼちゃと、もち米粉、米粉、黒豆、小豆を混ぜ合わせて蒸したものなのですが、写真のようにかぼちゃを混ぜずに間に挟んだものもありました。
どっしりとした見た目でかなり甘そうに思われるかもしれませんが、実際は甘さ控えめ。うるち米の優しい風味と、まぶしてある小豆の味がしっかり際立っていて、日本でも親しまれる味わいだと感じました。韓国の食料品を扱うお店で購入できるので、ぜひお試しいただきたいです。
(2025年4月掲載)