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毎年10月頃に現れるオリボーレンの屋台
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たっぷりの油で揚げています
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たくさんのオリボーレンが並ぶショーケース
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かわいらしくアレンジされたものも!
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粉砂糖は思い切ってたっぷりと!
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中にもレーズンがたくさん入っていました
大晦日には欠かせない“年越しスイーツ”
「オリボーレン」
オランダは無宗教の人々が過半数を占める国ですが、その次に多いのがキリスト教徒です。クリスマス時期になると首都アムステルダムの街を巡る運河がライトアップされてナイトクルーズが催されたり、クリスマスマーケットやイベントが開催されたりとよりいっそう賑やかに。あちらこちらで輝くイルミネーションが、暗く寒い冬に温かさを感じさせてくれます。
そんなオランダに住む人々にクリスマスの到来を感じさせるスイーツが、冬の定番「オリボーレン」です。直訳すると「油ボール」。その名の通りボールのように丸い、揚げドーナツのようなスイーツです。オランダでは大晦日はオリボーレンとシャンパンで年を越して新年の到来を祝うのが定番なので、年越しそばならぬ「年越しスイーツ」として年末年始には欠かせない存在です。
毎年10月頃から繁華街の至るところにオリボーレンの屋台が出店されます。肌寒い中歩いていると、どこからかホッと幸せな気持ちになるような甘い匂いが漂ってきて、そちらに目をやるとオリボーレン屋台が……なんてことがしばしば。オリボーレンを揚げる温かい湯気とおいしそうな香りに、オランダの人々は「また今年もこの季節がやってきた」と感じるそう。
オリボーレンの材料は小麦粉、イースト、塩、砂糖、卵、牛乳ととてもシンプルで、一般的に食べられているドーナツの原型とも言われています。1650年代の絵画にも描かれているほど歴史があるスイーツで、当時は「オリークック(油クッキー)」と呼ばれていたそうです。
定番はプレーンまたはレーズン入りですが、ほかにも刻みりんごが入っているものなどたくさんの種類がありました。見た目や外側のサクッとした食感は沖縄のサーターアンダギーのようですが、中はとってももっちりとしています。屋台で購入するときに粉砂糖をかけるか聞かれるのですが、生地自体は意外とあっさりしているので、しっかりと粉砂糖をかけた方がおいしいと感じました。
私が購入した時は、1個1ユーロ程度で販売されていました。1個だけでも十分満足感のあるボリュームですが、地元の方は10個20個と買っていくことも多いそう。オランダの冬を象徴するオリボーレン。この国で暮らす人々から特別に愛されているスイーツのようです。
(2025年10月掲載)