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クッキーとタルトの中間のような生地
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濃厚だけれど、甘さ控えめなので食べやすい!
美食で知られるプーリア州の名物菓子
「パスティチョット」
イタリア南部、半島の「ブーツのかかと」あたりに位置するプーリア州。魅力的な村や美しいビーチが点在する人気の地域で、毎年ヨーロッパ各地から多くの人が夏のバカンスに訪れています。特にとんがり屋根の白い家「トゥルッリ」が建ち並ぶ世界遺産「アルベロベッロ」村は、この地方を象徴する景観としてよく知られています。
プーリアは穀倉地帯でありながら地中海も近いため、海の幸も豊富。イタリアの中でも特に新鮮でおいしいものが食べられる場所と言われています。実際、滞在中に食べた食事は海産物から野菜、果物までどれも驚くほどのおいしさでした。そのためか、この地方の人々は健康的な食事を取ることをとても大切にしており、家族で囲む食卓が暮らしの中心にあります。
そんなプーリアにあるレッチェ県の名物菓子が「パスティチョット」です。ラードを練り込んだクッキーのような生地(パスタフローラ)に、濃厚なリコッタチーズやレモン風味のカスタードを詰め、表面に卵を塗って焼き上げたシンプルなスイーツで、見た目はポルトガルの「パステル・デ・ナタ」にちょっと似ています。
起源は諸説あるようですが、私が耳にしたのは「経営難に陥った菓子職人が、限られた材料で試作した新しいスイーツを道行く人に振る舞ったところ、“家族にもぜひ食べさせたい!“とお願いされるくらい気に入られた」……というできごとがきっかけで誕生したというエピソード。確かにこのおいしさは、誰かと分かち合いたくなります!
パスティチョットは、現地ならバルやお菓子屋さんで手軽に購入できます。クリームがたっぷり詰まっていて小ぶりながらもひとつで十分満足感を得られるので、朝ごはんとして食べたこともありました。私が食べたものはできあがりから少し時間が経っていたので、外側はサクッとしていたのですが、中身はしっとりとしていてまんじゅうの餡のような食感でした。運良く焼きたてに出会えると、とろりとしたクリームが楽しめるそうです。
また、スポンジを使ったケーキ型の派生版「トルタ・パスティチョット」というものもあり、大人数でシェアするときに喜ばれそうなサイズ感でした。こちらも機会があればぜひ試してみたいです。
(2026年3月掲載)