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貝殻のような美しい造形!
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名前の通り、ひだが何枚も重なった生地
ナポリで生まれた貝殻のようなパイ
「スフォリアテッラ」
イタリアは南北に長く地域ごとに気候が異なるため、それぞれの特産品を生かした食文化が発展しました。また紀元前からギリシャやアラブとの交易が盛んだったこともあり、異国の食材や技術を取り入れてきた歴史もあります。その結果、周囲の西洋諸国と比べても一際豊かな食文化が育まれました。
今回ご紹介する「スフォリアテッラ」は、小麦の生産が盛んなイタリア南西部にあるカンパーニャ州の郷土菓子です。州都はイタリア第3の都市ナポリ。ティレニア海に面したアマルフィ海岸とともに、南イタリアを代表する食文化の中心地です。
スフォリアテッラとは「ひだを何枚も重ねた」という意味で、その名の通り、薄い生地が何層にも折り重なっています。先端の細い部分にまで丁寧にひだが入っていて、食べてしまうのが惜しくなるほど。貝殻のような形も美しく、お皿に乗っているだけで、その造形美に思わず見入ってしまいます。
スフォリアテッラが誕生したのは、1600年代のアマルフィ海岸にあるサンタ・ローザ修道院だと伝えられています。修道女がセモリナ粉(主にデュラム小麦から作られる粗挽きの小麦粉)に砂糖とドライフルーツを混ぜた餡を作り、パイ生地に詰めて焼いてみたところ、このおいしいお菓子が誕生したのだそうです。そのレシピは1800年代まで修道院の中だけで受け継がれていましたが、ナポリの菓子職人「パスクアーレ・ピンタウロ」がその製法を知って自分の店で売り出し、やがてナポリ中に広まりました。現在では、イタリアを代表する伝統菓子のひとつとして知られています。
一見クロワッサンのようですが、バターではなくラードが使われているため、口当たりは全く別物。サクサクを通り越して、ザクザクッと食べ応えのある食感です。また、間に挟んでいるクリームは想像より遥かに甘さ控えめでした。見た目とのギャップも、このお菓子の魅力のひとつかもしれませんね。
フィリングの定番はリコッタチーズにシナモンやオレンジなどのドライフルーツですが、昨今はマロングラッセ、ピスタチオ、チョコレート……と、種類がどんどん増え続けているそう。今後の進化が楽しみです!
(2026年4月掲載)