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ホロッと崩れる食感が愉しい
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さまざまなフレーバーが並んでいました
アーモンドの芳ばしさが魅力の郷土菓子
「アマレッティ」
フランス国境にほど近い、イタリア北部にあるピエモンテ州の都、トリノ。アルプスの山々に囲まれた美しい街で、1861年にイタリア王国が統一されたときに最初の首都となった歴史があります。近年は2006年の冬季オリンピック開催地として、また自動車メーカー「フィアット」の本社所在地としても知られています。
今回ご紹介する「アマレッティ」は、そんなトリノの郷土菓子です。このお菓子の誕生については諸説ありますが、その一説として「ミラノの大司教が村を訪れた際に、ある夫婦が献上したのが始まりである」という逸話が残されています。一見普通のクッキーのようですが、一部を除くほとんどが、バターも小麦粉も使われておらず、アーモンドパウダーで作られます。食感はしっとりやわらかなソフトタイプと、カリッと軽いドライタイプの大きく2つのタイプに分かれており、地域によって製法や表情が異なります。スーパーやお菓子屋さんなどで手軽に購入できるので、旅のお土産としても人気です。
アマレッティの語源の「アマーロ」は「苦い」という意味で、材料のビターアーモンドの風味に由来していると言われています。その名の通り頬張ると芳ばしいアーモンドの香りが口いっぱいに広がるところが、アマレッティの魅力です。アーモンドは硬いビスケットの代表格「ビスコッティ」をはじめ、イタリアの数多くの焼き菓子に使われており、この国でとても大切にされている食材であることが伺えます。
ちなみに、カクテルやお菓子用に広く使われているイタリアの有名なリキュール「アマレット」は、お菓子のアマレッティに似た風味を持つことから名付けられているそう。ただし、こちらの原料はアーモンドではなく「杏仁(アンズの種の核)」です。
実はこのお菓子の起源については、原材料にアーモンドが使われていることから「中東の菓子文化が伝わったことで誕生したのではないか?」という説もあるそう。そしてアマレッティは、イタリアの名家「メディチ家」の「カテリーナ・デ・メディチ」がフランス王族に嫁いだときにフランスに伝わり、後の「マカロン」の原型となったとも言われています。
お菓子が国境を越え、形や味わいが変わり、新しい物語を生みだしていく――。その変化の旅もまた興味深いですね。
(2026年5月掲載)