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アイスより柔らかく、ムースほど軽くはない
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スッと溶けて、クリーム感だけが残ります
アイス? ムース?…なデザート
「セミフレッド」
焼菓子に揚げ菓子、生菓子……と、多様な素材と製法からバラエティ豊かなデザートが生まれているイタリア。冷菓もジェラートをはじめ、アイスクリームにエスプレッソをかけたアフォガード、かき氷にも似たグラニータ、リコッタチーズや生クリームにドライフルーツを混ぜて冷やし固めたカッサータなど数多いのですが、そのなかでも私の記憶に残っているのが「セミフレッド」。暑い日に寄り添ってくれるスッキリとしたデザートです。
「セミ」は「半分」、「フレッド」は「冷たい」という意味で、完全に凍らせずに半解凍の状態で味わうことを前提としています。生クリーム、卵、砂糖に、好みのフルーツなどを合わせて作られており、アイスクリームとケーキとシャーベットのそれぞれの良さを重ねたような、軽やかで不思議な口当たりが特徴です。
セミフレッドは攪拌しながら冷やすアイスクリームと違い特別な機械を必要としないので、家庭でも手軽に作ることができます。あらかじめメレンゲやクリームにたっぷりと空気を含ませるのが上手に作るポイント。こうすると空気を抱き込ませた状態で冷凍されるので、凍ったときに固くなりすぎません。
ちなみにアイスクリームの原型とされている「ズコット」というデザートは、スポンジの中にこのセミフレッドを詰めたものです。ズコットは16世紀半ばに食品の冷却技術を発展させた建築家のブオンタレンティがメディチ家のために考案したものと伝えられており、のちにフランスでアイスクリームが発展したのはカテリーナ・デ・メディチがフランス王家に嫁ぐ際にこのデザートを持ち込んだためとも言われています。
セミフレッドは冷凍庫から取り出して少し溶けるのを待ってから口に運ぶと、アイスクリームとムースの中間のような、ふわりとほどける口溶けが楽しめます。フレーバーはクリームチーズやラズベリー、チョコレート、ピスタチオ、キャラメル……と食べ尽くせないほどありました。
こってりとしたデザートの多いイタリアですがセミフレッドはどこか軽やかで、食後でもついペロリと食べられてしまう魅力的な一品でした。
(2026年6月掲載)