-
沸騰させた乳を冷まし、種菌を加えて発酵させます
-
市販品のタラグも広く親しまれていました
-
喉をうるおし、お腹も満たす! 夏の飲むヨーグルト
夏に欠かせない飲むヨーグルト
「タラグ」
モンゴルに滞在したのは、2025年7月末から8月中旬。モンゴルの夏はとても短く、到着した頃は毎日30度を超える暑さだったのに、帰国する日にはジャケットが手放せない位まで気温が下がっていました。しかし、どんなに短くても夏はモンゴルの人々が一年で最も心待ちにする、活気に満ちた季節。そして、乳製品作りが本格的に始まるシーズンです。
乳製品は「ツァガーン・イデー(白い食べ物)」と呼ばれており、特に夏になると食卓にたくさん並びます。モンゴルはまさに「乳製品の王国」で、約40種類もの乳製品があり、ここで暮らす人々は日常的に5種類以上も食べていると言われています。
その背景には、馬、牛、羊、山羊、ラクダの5種類の家畜を放牧するという昔から続いてきた営みがあります。家畜ごとに搾乳の時期が異なるため、その利用方法が多様にあり、数多くの乳製品が生まれたのです。
そんな夏のモンゴルで特によく食べられているのが「タラグ」というヨーグルトです。原料は地域によって異なりますが、主に牛乳や羊乳、山羊乳が使われます。私が滞在した西部のバヤン・ウルギー県では、牛乳が主流でした。一方、南部にはラクダの乳で作られたものもあり、栄養価が高いことから妊婦さんが好んで飲むのだそうです。
乳を一度沸騰させて冷まし、前に作ったタラグを種として加えて発酵させる──と作り方は至ってシンプル。今はプラスティック容器で作る家庭が多いのですが、かつては木製の発酵容器が使われていたそうです。
タラグは日本のヨーグルトよりもとろみが強くてしっかりとした酸味があり、後味には発酵由来のほのかな炭酸が口の中にシュワッと広がります。子どもには少し酸味がきついようで、砂糖を入れたりベリーなどのフルーツを混ぜたりして食べていました。
現地の方から、子どもの頃「お腹がすいた」「喉が渇いた」と訴えると、「タラグを飲みなさい」と言われたというエピソードを教えてもらいました。タラグは飲み物でありながら、どこか食べ物でもあり、1杯でお腹が落ち着く感覚があります。また、体を冷やして消化を助ける働きもあるそうで、夏場には水分補給としてよく飲まれています。モンゴルの短い夏の暮らしに欠かせない、いわゆる「栄養ドリンク」のような存在と言えそうですね。
(2026年9月掲載)