ペコちゃんと私は、東ヨーロッパと西アジアの境界に位置する、「ジョージア」へやって来ました。
この国は2015年に法律が改正されるまで「グルジア」と呼ばれていたので、「ジョージア」と聞くと国名よりもコーヒーやアメリカの州をイメージする方が多いかもしれませんね。
ちなみに、現地では「サカルトベロ」と呼ばれています。
ジョージア人は日本でも活躍していて、特に相撲の2018年1月場所で優勝を果たした栃ノ心や、黒海、臥牙丸は有名です。また、ソビエト連邦の指導者だったスターリンも、実はこの国の生まれでした。
国土は北海道より少し小さく、400万の人たちが暮らしています。日本と同じように四季があり、私が訪れた夏は湿度が高く、30 度以上の暑い日が続いていました。
4,000 年以上の歴史を持ち、シルクロードの交差地点として栄えたジョージアは、現在でもヨーロッパと中央アジアを最短距離で繋ぐ重要なルートです。
そんなジョージアの首都のトビリシは、100万人が暮らす大都会。たくさんの車と人が行き交う、とっても賑やかで、平和な街です。
私はこれまで様々な国や地域を訪れてきましたが、これほど治安が安定している街は初めて、と言っていいくらいです。
トビリシの語源と言われている「トビリ」とは、ジョージア語で「温かい」という意味で、温泉が湧くことに由来しています。その言葉通り、旧市街には17世紀から続く温泉地があり、良質の硫黄泉が湧き出ています。マルコ・ポーロも訪れたという温泉は絶妙なお湯加減で、トロトロの湯ざわりを愉しむことができました。
トビリシ市内に暮らす、チュンブリドゥゼ一家は、お母さんのルスダニさん、お父さんのバトゥさん、娘のアニィさんとタムラさんの4人家族です。
彼らが住んでいるのは、3LDK のマンション。
トビリシの多くのマンションは、ソ連時代に建てられたものに内装工事を施して使用しています。そのため、一見古くてエレベーターなどの設備も付いていない建物が多いのですが、家の中はモダンです。
ジョージア人はお客さんを招くのが大好き! チュンブリドゥゼ家にも、しょっちゅう親戚や友人が遊びに来ていました。
「お客さんは神様からの贈り物」という言葉があるほど、彼らはゲストを大切にしていて、たくさんの料理とワインでもてなします。
特別なことがなくても、テーブルから溢れそうなほど食べ物を並べるのがジョージア式。見ているだけでお腹がいっぱいになりそうなのですが、視覚と味覚、会話を楽しみながら食べる食事は格別においしく感じます。
ジョージアは「ワイン発祥の地」として知られています。
この国のワイン造りは一般的な樽醸造ではなく、「クヴェヴリ」という特殊な壺(土器)を使うのが特徴で、2013 年にユネスコの無形文化遺産に登録されています。
伝統的に各家庭でワイン造りを行っているので、多くの人は店でワインを買いません。家庭で造られるぶどうを、皮ごとクヴェヴリに入れて発酵させた白ワインは、黄金色をしています。これはタンニンを多く含んでいるためで、活性酸素を抑制する効果がある、健康に良いワインです。
料理も独特で、隣接するロシア、中東、アジア、ヨーロッパの影響を少しずつ受けながら発展してきた
ジョージア料理は、ロシアや中東近辺の人なら誰もが認めるほど、とってもおいしいと評判です。
主食は、「ハチャプリ」と呼ばれるチーズパン。
チュンブリドゥゼ家の朝晩の食卓にも、必ずと言っていいほど登場しました。
地方によってその作り方や材料が異なりますが、私が食べたものにはパンの中にチーズ、バター、生卵が入っていました。少ししょっぱいチーズに甘みのある卵がよく合っていて、まさに絶品です。
ジョージア人は男女問わず、スイーツが大好きな国民でもあります。
ジョージアを代表するお菓子で、街のあちらこちらで売られているものに、「チュルチヘラ」があります。絞ったぶどうジュースを長時間煮込んでトロトロにしたものに、紐に通したナッツを漬け込んで棒状にしたものを乾かした伝統的なお菓子です。乾燥には1 週間ほどかかりますが、その後は何年も保存が効くのだそうです。
このように、ジョージアの食卓には他の国ではお目にかかれないような食べ物がたくさん並ぶので、色々な料理を試すのが滞在中の楽しみとなりました。
聞いたところによると、ジョージア人はシーズン初めての食材を食べる前に「あなたを打ち負かす!」というニュアンスの言葉を口にするのだそうです。これもまた独特で、食卓を大切にするジョージア人ならではの習慣だと思いました。
ERIKO(エリコ)
モデル・定住旅行家
鳥取県出身。東京コレクションでモデルデビュー。高校在学中、語学留学のためイギリス、アメリカ合衆国に滞在。高校卒業後、イタリア、アルゼンチン、ロシア、インドで語学習得のための長期滞在をきっかけに、様々な土地に生きる人達の生き方や生活を体感することに興味を抱き、スペイン語留学で訪れたアルゼンチンでの生活をきっかけに、ラテンの地と日本の架け橋になるという目的を持って、2012年から1年4ヶ月をかけて中南米・カリブ25ヶ国を旅する。現在モデルと並行し、「定住旅行家」として、世界の様々地域で、現地の人々の家庭で暮らすように旅を続け、人々の生活や生き方を伝えている。NEPOEHT所属(モデル)であり、雑誌、CM、企業講演、トークイベント、国内外TV、ラジオなどメディア出演多数。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。また、内閣府平成28年青年国際交流事業の効果検証に関する検討会委員。観光庁「若旅★授業」講師。とっとりふるさと大使。米子市観光大使。国際協力機構JICA「なんとかしなきゃ!プロジェクト」著名人メンバーなども勤める。

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