日本から南に約3,000km。赤道に程近い、南太平洋のミクロネシアにある、パラオにやってきました。
ミクロネシアはギリシア語で「小さい島々」という意味です。その言葉通り、たくさんの島々が東西約5,000kmの距離に細長く連なっています。
私達が訪ねたパラオは、200以上の島で構成されているのですが、その中で有人島はたったの9島で、あとは全て無人島です。全人口約2万人のほとんどが集まっているコロール島には、全体の7割を占めるパラオ人と、中国人やフィリピン人などのアジアから出稼ぎに来ている人達が暮らしています。
パラオは日本との時差がなく、直行便であれば約5時間で到着できるので、ハネムーンや観光で行く南国リゾートとして長年人気がありますよね。世界有数のダイビングスポットとしても知られている美しい海には、さまざまな種類の魚やサンゴ、そして絶滅が危惧されているジュゴンも生息しています。
パラオの人気スポットの1つに、ユネスコの世界遺産に登録されている「南ラグーンのロックアイランド群」があります。ロックアイランド群はコロール島とペリリュー島の間にある、古代サンゴ礁が隆起してできた約445の石灰岩の島々の総称です。
ロックアイランドには、世界でも数少ない「マリンレイク」が52カ所も集まっています。マリンレイクとは、湖底と海底が繋がってできた汽水湖のことです。
マリンレイクの中には「ミルキーウェイ」と呼ばれる、海水が乳白色に染まった湖もあります。長い年月をかけて溶け出した石灰岩やサンゴなどが泥となって海底に溜まったため、このような色になったと言われています。
ここでの楽しみは何と言っても、天然ミネラル泥パック!ミルキーウェイの真っ白な泥は、粘り気があって保湿力が高く、お肌がツルツルになります。世界中色々な場所で泥パックを試してきた私ですが、その効果に感動してしまいました。
また、マカラカル島には「ジェリーフィッシュレイク」と呼ばれる、無毒のクラゲと一緒に泳ぐことができる稀有なマリンレイクがあります。
実は数年前、環境の変化や観光客がたくさん訪れていたことが影響したのか、一時、クラゲが絶滅の危機にさらされたことがありました。その後、しばらく立ち入り禁止にしたことでクラゲは復活し、今年から再び一緒に泳くことができるようになりました。
観光客が増えれば経済は潤いますが、同時に自然環境を守るさまざまな工夫が必要になります。そのバランスは、非常に難しい問題です。
パラオは今、観光と環境保護の両立に最も力を入れています。
パラオ入国時にパスポートに押されるスタンプはどの国とも違った非常にユニークなもので、「パラオ誓約(Palau Pledge)」と呼ばれています。このスタンプは、パラオ滞在中に環境を保護することに誓いを立てるもので、入国管理官から署名するように求められます。
また、パラオ国内の島々へ渡る時や、魚釣りやダイビングなどのアクティビティなどにも税が課せられていて、そのお金は環境保護のために使われています。
自然環境保護と向き合い続ける努力を惜しまないこの国では、2018年からプラスティックバッグ(レジ袋)が輸入禁止(Plastic Bag Reduction Act)となっていて、さらに2019年の11月からは本格的に使用禁止になる予定です。また、世界で初めての試みとなる、サンゴ礁に有害な10種類の化学成分が含まれる日焼け止めの取り締まりも始まる予定で、環境への配慮はますます活発化していくようです。
日本の、特に都会で生活していると、自然と直接触れ合う機会がどうしても少ないので、「自然環境保護」などと聞いてもなかなか実感が湧きにくいのですが、パラオで暮らしてみると、海やジャングルがとても身近に感じられます。
食料調達の魚釣りで眺めた海、大空を飛びまわる鳥、島中どこにでも生えているたくさんの種類の植物など、普通に生活しているだけで自然が目に飛び込んでくるので、環境が今どんな状態にあるかということを肌で感じる機会が圧倒的に多いのです。今回改めて、自然と人間が共存する意味を考えさせられました。
ERIKO(エリコ)
モデル・定住旅行家
鳥取県出身。東京コレクションでモデルデビュー。高校在学中、語学留学のためイギリス、アメリカ合衆国に滞在。高校卒業後、イタリア、アルゼンチン、ロシア、インドで語学習得のための長期滞在をきっかけに、様々な土地に生きる人達の生き方や生活を体感することに興味を抱き、スペイン語留学で訪れたアルゼンチンでの生活をきっかけに、ラテンの地と日本の架け橋になるという目的を持って、2012年から1年4ヶ月をかけて中南米・カリブ25ヶ国を旅する。現在モデルと並行し、「定住旅行家」として、世界の様々地域で、現地の人々の家庭で暮らすように旅を続け、人々の生活や生き方を伝えている。NEPOEHT所属(モデル)であり、雑誌、CM、企業講演、トークイベント、国内外TV、ラジオなどメディア出演多数。著書に「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)。また、内閣府平成28年青年国際交流事業の効果検証に関する検討会委員。観光庁「若旅★授業」講師。とっとりふるさと大使。米子市観光大使。国際協力機構JICA「なんとかしなきゃ!プロジェクト」著名人メンバーなども勤める。

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